真宗以前 ー中世貴族社会の死の作法と葬送儀礼
<お断りとお詫び>
臨終・葬送・埋葬
看病・看死・臨終…から、死者の送り儀礼(葬送)…、遺体の埋葬(遺体・骨の行方)…、それぞれの儀礼の日本的展開を前提に真宗以前ということで考察するつもりであった。正直言って、真宗以前は難しい。歴史研究、宗教・民俗研究、それなりの蓄積はあるが「現代」から見て、という視点はない。研究者にとっては当然であるが、実務に携わる僧侶にとって一番にしりたいことが伝わらない。
恩師筋からは、「だから、遠藤さん、実践がらみの研究はアカン…」と諭されそうである。再考するつもりで、これまでの予備ノートをあげておく。すみません…。
1 東アジア・中国仏教における葬送儀礼のダブル・スタンダード
A 「尊宿葬法」と「没後儀礼」
大づかみな言い方であるが、中国仏教の葬送儀礼形成を唐代義浄の「無常経」の訳出が大きな契機であるといえそうである。
「無常経」以後、唐末から宋代にかけて、
ⅰ 「禅苑清規」と尊宿葬法 -出家者の葬送儀礼から―
宋代(11世紀前後)になると、在家仏教徒(信者)に対する仏式の葬送儀礼を、出家者と同様の「無常経」を中心として執行する機運がたかまる。
㋑ 中国の民間葬送儀礼である「臨終方訣」の採用
㋺ 出家者の葬送儀礼との接合
出家儀礼として在家仏教徒の葬送儀礼を考案、死後の「出家儀礼」(法名・剃髪=剃頭・沐浴・直綴・袈裟等を執行)⇒ 死後出家である「没後作僧」(引導儀礼)の成立
ⅱ 「臨終方訣」の仏説化と「没後作僧」の成立 -在家葬法の成立―
死後出家という死者を僧尼に見立てての葬送儀礼の誕生
2 真宗以前
- 貴族社会の死の作法と葬送
- 日本における葬送儀礼の展開
ⅰ 良源の「九品往生義」 ※ 迎講・臨終来迎
源信『往生要集』
ⅱ 真言密教の「土砂加持」
埋葬地での後生善処の死後作法(死後供養)
ⅲ 埋葬地=慕・供養塔の建立
埋葬地の聖域化の付随儀礼から出発